島根県松江市の健全な歯並びの育成という診療内容を矯正歯科に特化した歯科医院

大人の歯が内側から生えてきた!

質問:子供の歯が抜けないのに大人の歯が内側から生えてきました。
このままだと歯並びが心配です。
抜いたほうがいいのでしょうか?

写真は、下の前歯の生え変わりの状態を写したものですが、現在こういう生え方をするケースがかなり増下顎中切歯の異所萌出えてきました。

昔は、永久歯のうち一番最初に生えてくるのは、下顎の6歳臼歯(下顎第一大臼歯)でした。
ところが現在は、写真のように下顎の中央の前歯(下顎中切歯)から生えてくるほうがはるかに多くなっています。

通常、生え変わる永久歯は、骨の中でその上にある子供の歯(乳歯)の根が吸収してなくなるのを待ちながら、すこしずつ上へ移動して生えてきます。
ただ、はっきりとした誘導路があるわけではないので萌出しやすい位置に生えようとします。
臼歯は大きいのでたいていは子供の歯が完全に抜け落ちないと次の大人の歯が生えてこられない場合が多いですが、前歯は薄くて小さいので、子供の歯が残っていても何とか生える場所を確保することができます。
よって写真のようなケースによく遭遇します。

こういった場合、あわてて乳歯を抜く必要はありません。
レントゲンを撮ってみるとわかるのですが、すでに乳歯の根はかなり吸収して短くなっています。
そう遠くない時期に自然に抜け落ちます。
すると永久歯は気づかないうちに前のほうに移動してきます。

歯は、最初に生えてきた位置で固定されるわけではなく移動します。
いろいろな歯を動かす仕組みがありますが、その一番大きな働きをするのが筋肉の力です。
内側に生えてくれば舌の筋肉によって前のほうに移動させる力が働きますし、外側に生えてくれば唇や頬の筋肉の力によって内側に押し戻されます。
そうして筋肉のつりあう位置で落ち着きます。
ですから、歯列の形は舌の外形のようなU字形をしているわけです。

では、上の写真の場合はどうなるのでしょうか?
前述したように、何もしなくても乳歯は抜けおちます。
内側に生えてきた2本の永久歯は、2本の乳歯と乳歯の間にある隙間のスペースを使って、前方へ移動し隙間なくきれいに並ぶと予想されます。
さて、ではその次に生えてくる横の永久歯の歯並びはどうなるのでしょうか?
乳歯と永久歯では大きさが違いますし、もう乳歯の間の隙間はありません。
よって、次の永久歯もたいてい後ろの位置に生えてきますが、この状態では前に移動できないでそのままの位置になるか、前によってきても斜めになる、という結果になると思います。

歯並びにとって重要なのは、永久歯の生えてくる位置ではなく、生えるべき場所に充分なスペースがあるかどうかということです。

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